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【旧】ストレスと腰痛の関係

腰痛の原因はストレスである

世界で最初にこの真実を発見したのはニューヨーク大学医学部臨床リハビリテーション医学の教授であるジョン・E・サーノ博士です
サーノ博士はもともと小児科医でした。博士はのちにリハビリテーション医学に取り組むようになってからいくつかの素朴な疑問に悩まされました。

なぜか検査所見と臨床症状が一致しないのです。自分の専門外のことは標準的な医学の教科書にのっとって診察を進めるしかないわけですが、現実は教科書の内容と大きくかけ離れていました

上部腰椎に変形があるのに痛みは下部腰椎付近にあったり、右側にヘルニアがあるのに左坐骨神経痛があったり、ほんのわずかな変形でも動けないほどの激痛に苦しむ患者がいる
見るも無残な変形がありながら軽い症状ですんでいる人、何かに神経が圧迫されて坐骨神経痛が起きているはずなのに、その何かがどこを探しても見つからない患者、それとは逆に変形やヘルニアが大きいにもかかわらず、軽い坐骨神経痛しか訴えない患者、検査でみつかった病変に変化がないのに、治ってしまう患者がいることです

小児科医だったサーの博士には納得のいくものではありませんでした

従来の診断学や治療学への不信感を募らせながらも患者を診ていくうちに、痛みは骨や軟骨から生じているのではなく筋肉に生じているのに気つきました

やがて、博士は興味深い事実を発見しました

患者の病歴を調べなおしているとき筋骨格系疾患に苦しむ患者の多くは、緊張性頭痛、片頭痛、胸焼け、胃酸過多、食道裂孔ヘルニア、胃・十二指腸潰瘍、大腸炎、過敏性大腸症候群、痙攣性大腸、花粉症、喘息、前立腺、湿疹・蕁麻疹、ニキビ、めまい、耳鳴り、頻尿、反復性膀胱炎、易感染症、自律神経失調症、便秘といった健康上の問題を経験していることに気づきました

実に9割の患者がこれら心身症の病歴を持っていたのです

要するに筋骨格系疾患を抱える患者の大部分が、心理的緊張によって生じる病態を経験していたわけです。そこでサーノ博士は、患者の訴えている痛みの原因も、心の緊張にあるのではないかと考えたのです

サーノ博士はこの様な心の緊張が原因で筋肉が痛む病気を「緊張性筋炎症候群」(TMS」と名付けました
筋肉を緊張させる心の働き=抑圧

筋肉を緊張させ痛みの原因をつくる心の働きを抑圧といいます
「抑圧」とは、ストレスによって生じた感情により、精神的破局を避けるための意識的・無意識的な心の働きの1つです

ちょっと信じられない嫌なことがあった時、自分自身を見失ってしまったり、パニック状態を避けるためあなたはこんなことやっていませんか?

● とにかく忘れよう
● 考えないようにしよう
● 無視しよう
● 無かったことにしよう
この様に感情を無意識下に押し込める努力をする。これが抑圧です。これ、たいがいの方がやっていることですよね!そしてそうしたことさえ忘れてしまう

このような方々は私が「何かストレスはありませんか?」とお聞きすると必ず「気にしないようにしているから大丈夫です」と答えます。中には「私はストレスに負けるような弱い人間ではない」とまで言う方もいらっしゃいます

しかし「気にしないようにしているから大丈夫」とか「ストレスに勝てる」と言っていられるのははDLPFC(背外側前頭前野)が元気なうちだけです

長く続くストレスによりDLPFCの力が相対的弱くなると、わけもなくイライラしたり、集中力がなくなったりしてきます。それでもなおほとんどの方は感情の抑圧をつづけます

脳は下図のように脳幹、大脳辺縁系(負の感情をつかさどる扁桃体ある場所)、大脳新皮質(DLPFC)がある場所)の3つの層に分かれていて、上層の脳が下層の脳を制御します

それぞれの働きは脳幹・・・呼吸や循環など生存のための反射脳
大脳辺縁系・・・感情、本能、欲求に関与する情動脳、自律神経系の最上位中枢、内分泌系と自立神経系に影響を及ぼす内臓脳
大脳新皮質・・・思考力や創造力を司る理屈脳
ストレスがあまりない場合は大脳新皮質(理性)が大脳辺縁系(感情、自律神経)と脳幹(呼吸器や循環器)を制御します
DLPFC(大脳新皮質)が衰退しすると脳幹を独占的に支配した大脳辺縁系(感情、自律神経)が暴走しはじめます

言い方を変えると理性に変わりマイナス感情が体を支配しはじめるのです。私はこのマイナス感情による体の支配こそが痛みや病気の原因である考えます
大脳辺縁系は感情をつかさどる中枢であると同時に自立神経系の最上位中枢でもあります

このことから次ののよなことがいえます

感情=自律神経⇒ 自律神経は内臓や筋肉に影響を与えるから 感情=体の反応
私たちが怒りを感じると筋肉には力が入り、呼吸は浅くなります

それでは逆に筋肉から力を抜き、ゆったりとした呼吸のままで怒ることが出来ますか?

できませんよね!

怒りや不安を感じると必ず筋肉に力が入り硬くなります。これが痛みの原因です。このように感情には必ず体の反応が伴います

ですからあなたが怒りや不安を感じているとき「気にしないようにしているから大丈夫」ではすまないのです。そこには必ず体の反応(痛み)があります。だんだんDLPFCが衰退してくるとは感情と体の反応(痛み)がだん強くなっていきます
なぜ、筋肉がかたくなると痛くなるのか?

TMS(心の緊張が創り出す筋肉の痛み)理論を開発したサーノ博士は、TMSの直接的原因は、血管収縮による虚血状態だと考えています

つまり、自律神経系を介して血管が収縮し、患部の血液循環が悪くなって、軽い酸素欠乏が起きているというのです。この血管収縮が生じることで患部では次の3つが起きていると考えられます
第1に科学的老廃物の蓄積です
この老廃物は主に乳酸という疲労物質ですが、通常は血液循環によって洗い流されるため、蓄積されることはありません。ところが血管収縮にともなって血流量が減少すると、筋肉内に発痛物質でもある乳酸が蓄積し、筋肉痛を引き起こしてしまうのです
第2に筋肉痙攣(けいれん)です
血流量の減少によって酸素欠乏が深刻になると、筋肉が痙攣しはじめます
第3に神経障害です
神経は筋肉よりデリケートにできていて、ほんのわずかな酸素欠乏でも症状を出して危険を知らせます。つまり、筋肉はかなりの酸素欠乏にも耐えられますが、神経は酸素欠乏にとても弱いのです
神経を養っている血流量の減少は、上腕神経叢(腕の神経)や坐骨神経のような末梢神経の酸素欠乏を引き起こします

一般的な酸素濃度の低下による症状は痛みですが、さらに酸素濃度が低下した場合、さ
まざまな程度の知覚異常や筋力低下をきたすことがあります

痛みの役割

痛みはとうてい私達が受け入れることが出来ない不快な感情を隠すために存在します

身体に痛みがあると本人の注意を完璧に身体に引きつけておくことが出来ます。たとえ抑圧に失敗し、エゴにとって不快なものが浮上したとしてもそれをみなければいいのです

みなければないと同じです。これがTMSで起きていることです

だからこそ、重症のTMS患者は頑なにストレスの存在を否定するのです

サーノ博士はこう述べています

「痛みは注意をそらすためのものだという事実に気づかずにいる限り、何者にも邪魔されることなく、痛みはその目的を果たし続けるだろう。しかし、いったんその事実を認識し、しっかり理解するや(単なる認識では不十分で、しっかり理解しなければならない)
ごまかしは通用しなくなり、痛みは消える。痛みの存在理由がなくなるからだ。」と

つまり、痛みは不快な感情に目を向け、見たいとも思わなかったものに焦点あて観察することにより消滅します

大脳辺縁の暴走が作り出すのは痛みだけ?

理性(大脳新皮質)の力が弱くなり生命活動の中枢である脳幹が「扁桃体が常に興奮している大脳辺縁系(マイナス感情)」の影響を強く受けている場合、体は常に「緊急事態発令」状態、つまり常に交感神経が興奮している状態になります

上記のようにサーノ博士は「慢性腰痛などの筋骨格系疾患に苦しむ患者の多くに心身症の病歴をもっていた」のを発見したのもうなずけます。
マイナス感情が原因で交感神経が興奮を続けるとどうなるかは「脳幹の機能」を知ればわかります

脳幹の主な機能は次の通りです

1 循環器や呼吸器、消化器などの働きをつかさどる
2 ホルモンの内分泌の調整
3 食欲、睡眠などの本能行動の調整
4 発汗や発熱などの体温調節
5 運動機能調整(バランス、歩行感覚、重心維持機能)
6 全身筋力調整(骨格保持)
7 毒素排出調整(大小便、汗など)
8 免疫調整
など・・・

これらの機能がすべて緊急事態に編成された結果発症するのが心身症ではないかと私は考えます。痛みのもう一つの役割はこの様な危険な事態が体に起きていることを知らせることだと私は考えます

慢性腰痛の原因となるストレスの正体

痛みを慢性化させているストレスは今あなたが感じているストレスはではなく腰痛が始まった時に感じていたストレスです

そして
今も痛みに苦しんでいるのはその時のストレスが現在の環境から刺激を受け続けているからです。過去のストレスを再刺激するものとはいったい何なのか?

詳しくは下記リンクをご覧ください

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