癒される心と体 -元気回復堂-

【旧】痛みに関する大ウソを科学的に証明

ここではヘルニア、背骨の異常や老化が腰痛の原因ではない科学的な証拠を述べていきます。

もちろん、このことは首の痛みや肩こり、手のしびれなどにも言えることなので、これらの症状でお悩みの方にも参考になるはずです.

また、このページでは科学的根拠を扱っているため内容や表現がかなりかたくなっています。

腰痛に関する常識は間違っている?

腰痛研究の飛躍的な進歩により、これまで常識とされていたことが間違っていたり、医学的には根拠がなかったりと、新事実が次々とわかってきました。

そこでいきなりですが、腰痛に関するクイズです〇か×かでお答えください

1、腰痛の原因は椎間板ヘルニアなのだから手術しないと治らないのうそ!

1、腰痛の原因はヘルニアだから手術しないと治らない
2、腰痛の原因は老化である
3、腰痛の原因は背骨の異常である

正解はー「〇」と答えた方も多いと思いますが、実はすべて「×」であることが科学的に証明されています。

慢性化した腰痛で苦しんでいるほとんどの方はこのような間違いを真実だと思い込んでいまます。

しかし、これらはもっとよくある間違いに比べれば取るに足らない問題です。この間違いのせいで多くの人たちが「大事な人生を台無しにしてしまう」のです。

home-腰痛 その間違いとは・・・・

腰痛の問題は「痛みだけ」というものです。

確かに「痛みのない腰痛」などというものはこの世に存在しませんが、だからといって「痛みだけ」にとらわれていると・・とんでもないことになるという事実が「ある研究」により科学的に明らかになりました。

元気回復堂では、痛みに悩まれている方たちにその辺りについての詳しいお話もお伝えしていきます

>>研究により明らかになった驚きの事実はこちら

慢性腰痛の根本原因は痛みに対する怖れ

もしかして!

あなたは冒頭の腰痛に関するクイズで3問とも〇と答えていませんか?

こんな場合は「痛みの原因は老化や背骨の異常だから腰痛とは一生涯付き合っていくしかない」とほとんどの方が思っています

「いつ襲ってくるかわからない、あの激烈な痛みと一生付き合う」こんなにも恐ろしく、気分が滅入ることが他にありますか!!!

あなたはあの激烈な痛みを避けるために様々なことに気を付けていませんか?

  • 重い物を持たないようにする。
  • 腰を曲げたり、ひねったり、反らしてはいけない。
  • 急に動いてはいけない。

など日常生活の優先事項は痛みをさけること。あなたは毎日、自分で決めたこのようなルールを守ろうとしていのではありませんか?

そして痛みから自分を守るためのルールを少しでも破ると、またあの激烈な痛みが襲ってくるのではないかと不安でたまらなくなるのでは?

痛みを長く我慢していると気分が落ち込んで気持ちが晴れません。やがて不安が強くなり不眠や抑うつ気分に襲われることもあります

欧米の研究(参考文献)ですが、6か月以上続く痛みを我慢すると、35~50%の人がうつ病にかかっているという報告もあります

もし慢性腰痛に苦しんでいるあなたが、急激な気分の落ち込みや今まで出来ていたことが急におっくうになり出来なくなったのなら、それは老化や根性が無くなったわけではなく慢性腰痛による脳機能の低下のせいかもしれません

どうすれば改善できる!慢性腰痛

慢性腰痛を改善するためには以下のことが必要になります

  • 正しい腰痛の情報を知る
  • 腰痛を恐れを解消し、動作恐怖症を克服する
  • ストレスを解消する
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◆椎間板変性の研究1
まず始めに紹介する研究はスイスで行われたものです

この研究の内容は腰痛のない健常者41名を対象に、腰部椎間板をMRIで繰り返し撮影し5年にわたって5年間追跡しました。この研究のポイントは職業も年齢もバラバラな41人の健常者の椎間板が5年の年月を経てどう変わったのか?

また5年の間で腰痛を発症した場合、椎間板に変化があったかどうかです

その研究によると

1、全体の41%に椎間板変性の発症または進行が見られたものの、「重い物を持ち上げる」「重い物を運ぶ」「体をひねる」「体を曲げる」といった従来の従来の危険因子とは関係がなかった

2、腰痛の発症率はむしろ椎間板変性のある方が低いということがわかりました。
この結果を受けて研究者のエルフェリングらは腰痛と椎間板変性との間に関連はないと結論づけました
◆椎間板変性の研究2
次の研究はカナダで行われ、1995年に発表されたものです

この研究の内容は男性の一卵性双生児115組を対象に詳細なアンケートとMRIを使って椎間板変性を促進させる危険因子を調査した

この研究のポイントは研究1で明らかになった通り椎間板の変性が「重い物を持ち上げる」「体をひねる」などの物理的な要因と関係ないならば椎間板変性を促進させる新犯人は何なのかということです。

同じ遺伝子を持った一卵性双生児でも性格や仕事、生活習慣はちがうはず、どのような要因が椎間板変性を促進したのでしょうか?

この研究の結果
椎間板の変性は仕事やレジャーにおける身体的負担、車の運転、喫煙習慣よりも遺伝的因子の影響を強く受けていることが判明しました
◆研究1と2の結果
椎間板変性の発症は、これまで信じられていた物理的因子と無関係であり、そして腰痛とも無関係であることが証明されました

このような研究結果を受け、アメリカの腰痛診療ガイドラインでは、科学的根拠のない無意味な診断名として腰椎椎間板症(椎間板変性、椎間板障害、椎間板裂傷、椎間板症候群)をあげています

これまでの研究は症状を訴える患者を対象にしたものがほとんどでしたが、症状のない健常者を対象にした研究が増えるにしたがって従来にの常識を覆すいろいろな事実がわかってきました。これは椎間板ヘルニアについてもいえることです

腰痛も坐骨神経痛も引き起こさない椎間板ヘルニア

ここからは椎間板ヘルニアについての研究です
これから紹介するアメリカ行われた3件のヘルニアの研究は似た内容で同じような結果をだしています

腰下肢痛の経験がない健常者の腰部画像の中に腰下肢痛患者のの腰部画像をまぜて事情を知らない医師に読影させるというものです

これらの研究のポイント
もし、椎間板ヘルニアが腰痛の原因ならば腰下肢痛の経験がない健常者には椎間板ヘルニアはないはずです

それでは1件ごと見ていきます

◆ヘルニア研究1
(1984年発表)
腰下肢痛を経験したことがない21歳~80歳までの52名を対象にCATスキャン(コンピューター体軸断層撮影装置)
で腰部を撮影し、それに要下肢痛患者のCAT画像6枚をランダムに混ぜ合わせ、内容を知らない3名の神経放射線医にこれらの画像を読影(ドクエイ)させました

その結果は
? 年齢にかかわりなく35,4%に何らかの異常が検出
? 40歳未満で19,5%、40歳以上では26,9%それぞれ椎間板ヘルニアがみつかった
◆ヘルニア研究2
(1990年発表)
腰下肢痛を経験したことがない20歳から80歳までの67名の腰部をMRIで撮影し、それに腰下肢痛患者のMRI画像33枚を
ランダムに混ぜ合わせ内容を知らない3名の神経放射線医にこれらの画像を読影さえました。

その結果は下記表の通りです

健常者の異常検出率

椎間板ヘルニア 21~36%
椎間板膨隆 50~79%
椎間板変性 34~93%
◆ヘルニア研究3
(1994年発表)
腰下肢痛を経験したことがない20歳~80歳までの98名の腰部をMRIで撮影し、それに腰下肢痛患者のMRI画像27枚をランダムに
混ぜ合わせ、内容を知らない2名の神経放射線医にこれらの画像を読影させました
この研究では椎間板ヘルニアを次の3つに分類し、タイプ別に異常検出率を調査しています。
1、椎間板膨隆(繊維輪の亀裂はないが椎間板が後方に膨れている)
2、椎間板突出(繊維輪に亀裂が生じて髄核が後方へ移動する)
3、椎間板脱出(髄核が繊維輪を破って後縦靭帯まで達している
その結果、少なくても1か所以上の椎間板膨隆が52%、椎間板突出が27%椎間板脱出が1%に確認されています。
ここのように腰痛や座骨神経痛のない健常者における椎間板ヘルニアの検出率はおおむね20~50%といったところです
◆ヘルニア研究4
(1995年発表されたカナダの研究)
こここにヘルニアに関するもう1つの研究があります。この研究は腰痛研究者にとっては最高の名誉とされる国際腰痛学会の
ボルボ賞を受賞しました。

この研究の内容は先の3つの研究とほとんど変わらないのですが次の2点だけがちがいます。

1、健常者の属性(年齢、性別、職業など)を一致させた
2、すでにヘルニアと診断された強い腰下肢痛を訴える患者のMRI画像を用いた。またその画像の数を健常者のものと同じ数にした
研究内容
すでに椎間板ヘルニアと診断された強い腰下肢痛を訴える患者46名と年齢、性別、職業などを一致させた健常者46名の
腰部椎間板をMRIで撮影し、内容を知らない2名の神経放射線医に両群の画像所見を読影させました。

その結果は
健常者の76%に椎間板ヘルニアが85%に椎間板変性がみつかりました。
以上、椎間板変性の研究2件、ヘルニアの研究4件により、画像検査により椎間板に異常が検出されたとしても、それが必ずしも
腰痛や座骨神経痛を引き起こさない事実が証明されたわけですが、痛みのない健常者の76%がヘルニアを持っているのならば
椎間板ヘルニアの存在は異常とはいえません。
◆その結果は
健常者の76%に椎間板ヘルニアが85%に椎間板変性がみつかりました。

以上、椎間板変性の研究2件、ヘルニアの研究4件により、画像検査により椎間板に異常が検出されたとしても、それが必ずしも腰痛や座骨神経痛を引き起こさない事実が証明されたわけですが、痛みのない健常者の76%がヘルニアを持っているのならば椎間板ヘルニアの存在は異常とはいえません。

2、腰痛の原因は背骨の異常であるはうそ

画像検査で発見される異常は椎間板変性やヘルニア以外にも潜在性二分脊椎、腰仙移行椎、脊柱側彎症、脊椎分離症、脊椎すべり症
などが見つかります。しかしこれらも腰痛の原因ではありません。上記のように腰痛患者と健常者とを比較した研究ではこうした異常の
検出率に全く差が出ていないからです。
ここでは4件の研究を紹介します。4件とも腰痛患者と健常者の腰部の画像を比較し、健常者でも背骨の異常があることを証明しています

◆背骨の異常に関する研究1
(アメリカで行われた研究で1953年に発表)
腰痛患者100名と健常者100名の腰部エックス線写真を比較した結果、両群間の腰仙移行椎、脊椎辷り症、潜在性二分脊椎、
変形性脊椎症の検出率に差はなかった
◆背骨の異常に関する研究2
(アメリカで行われた研究で1957年に発表)
腰痛患者200名と健常者200名のエックス線写真を比較した結果、両群の間の異常検出率に差はみられなかった
◆背骨の異常に関する研究3
(イスラエルで行われた研究1984年に発表)
18歳~50歳までの腰痛患者807名と健常者936名を対象に腰部エックス線撮影によって脊椎分離症の検出率を比較、その結果、腰痛患者の9.2%に、健常者の9.7%に脊椎分離症がみつかり、両群の間に脊椎分離症の検出率の差がないことがわわかりました。
◆背骨の異常に関する研究4
(アメリカで行われ1992年に発表)
雇用前健康診断を受けた港湾労働希望者208名、急性腰痛を発症した港湾労働者207名、6か月以上の慢性腰痛患者200名
を対象に2名の整形外科医によって腰部エックス線写真の異常検出率を比較しました。
この研究のポイント
これから港湾で働こうという人におそらく腰痛持ちはいないでしょう。ですから雇用前健康診断を受けたひ208名は健常者と考えても差支えないと思われます。

また急性腰痛を発症した港湾労働者207名の中には肉体的な労働をしている方が多いと思われます。

そして6か月以上の慢性腰痛患者200名の腰部エックス線写真を比較したらどうなるのか?
◆研究の結果
3群間の異常検出率に差はありませんでした
このことから将来の腰痛発症を予測できないばかりか、放射線被ばくの問題もある腰部エックス線写真は雇用者を選別するための方法
としては価値がないということががわかりました。
上記の背骨の異常に関する4件の研究のように画像検査で発見される背骨の異常は腰痛とは関係がないことが科学的に証明されています。

3、腰痛の原因は老化であるのうそ

老化による背骨の変形を医学界では変形性脊椎症(老化現象にともなって背骨が変形したり骨棘という骨増殖がみられたりするもの)
といいます。もし、老化が原因なら高齢になればなるほど腰う痛患者の数は増えるはずです。しかし実際に調べてみると
老化に関する研究1
“山口義臣・山本三希雄は17歳以上の一般住民6979名を対象に腰痛に関するアンケート調査を行っています。
それによると、腰痛のピークは30代~40代にあり、初めて腰痛を経験した年齢も20代をピークに徐々に減少している。下記グラフを参照してください

これからあげる2つの研究は健常者と腰痛患者の腰部エックス線写真を比べ変形性脊椎症をの検出率を比較した研究です

◆老化に関する研究1
(アメリカで行われた研究1953年に発表)
腰痛患者100名と健常者100名の腰部エックス線写真を比較したところ両郡間の変形性脊椎症の検出率にちがいはなかった。
◆老化に関する研究2
(デンマークで行われた研究1985年に発表)
60歳の一般住民666名を対象に胸椎と腰椎のエックス線写真を分析しています。

それによると、過去10年以内に腰痛になったことのある358名で58.7%に腰痛のない308名で57.5%に変形性脊椎症が見つかり両群の間に検出率の差は認められていません。

腰痛の3分類

何故当院はこのような提案ができるのか?

腰痛の原因は老化や背骨の変形ではないことが科学的に証明された今、従来の診断名:椎間板変性、変形性脊椎症などの診断名は無意味になりました
本来の診断の目的は生命を脅かすような危険な疾患を確実に除外する、患者の不安を軽減させるというものです。しかし実際には恐ろし気な診断名で患者の不安や恐怖心を煽るだけで信頼出来ない。というのが現状です。

そこで、登場したのがトレアージです。

トレアージとは患者の重症度に基づいて、治療の優先度を決定して選別を行うことで腰痛疾患のトレアージは以下の3つのカテゴリーに分かれます

1 レッドフラッグ
2 非特異的腰痛
3 神経根症状

1、危険信号(レッドフラック)
全腰痛患者の1%~5%

生命を脅かすような危険な疾患や緊急に手術を要する疾患、悪性腫瘍(ガン)、脊髄感染症、圧迫骨折、強直性脊椎炎、馬尾症候群など悪性腫瘍が原因の腰痛、全体の1%未満に過ぎませんが80%は50歳以上・・・50歳以上の腰痛患者は画像検査を受けるべきです

その他の特有な所見は、悪性腫瘍の病歴を持つ、原因不明の体重減少、1か月以上の保存的治療でも痛みが軽減しない、安静にしても痛みの軽減がないなどがあげられます

特に、乳癌、肺がん、前立腺がんは脊椎転移を起こしやすいので、これらの病歴がある方が腰痛を発症した場合はエックス線写真撮影、CTスキャン、MRI、骨シンチグラフィーなどで徹底的に調べるべきです

脊髄感染症が原因の腰痛
脊髄感染症は尿路感染、尿道カテーテルの留置、皮膚感染症、糖尿病、非合法薬物の静脈内注射によっておこる可能性があります

強直性脊椎炎が原因の腰痛
強直性脊椎炎は、進行すると脊柱全体が癒合してしまい、どの方向にも動かせなくなる、男性に多い膠原病の1種です。

次の項目のうち、4項目以上あてはまるようなら強直性脊椎炎の疑いがあるのでエックス線撮影と血液検査で調べる必要があります

1 腰痛発症が40歳以下である
2 発症の仕方がゆっくりである
3 少なくても3か月以上痛みが持続している
4 朝方に腰のこわばりがある
5 運動により症状の軽減がある
馬尾症候群が原因の腰痛
馬尾症候群とは痛みではなく麻痺が中心の症候群です

● 最も特徴的な症状は膀胱障害(尿閉、残尿、尿失禁)で、この膀胱障害がなければ99.9%否定できます
● サドル麻痺という知覚障害が出現し、臀部、大腿部後面、会陰部の感覚がなくなります
● 女性の場合は外陰部のほてりや灼熱間
● 男性の場合は陰茎の勃起
● 60%~80%に肛門括約筋の弛緩がみられ便失禁
しかし、だだちに手術が必要となるのは全体の0.04%です

内臓疾患や感染症に関連して起きる腰痛
以下の内臓疾患や、感染症が腰痛の原因となる場合があります。
解離性大動脈瘤破裂、胆嚢炎、胆石症、急性膵炎、腎・尿管結石・腎盂炎・急性腎炎・子宮外妊娠・骨盤腹膜炎・子宮内膜症・膠原病・インフルエンザ・脊椎カリエス
危険因子(レッドフラッグ)は病院に行かなくても以下の問診で検出出来ます

● 発症年齢が50歳以上である
● 徐々に痛みを感じるようになった
● ひどいケガをしてから腰が痛い(高所からの転落・交通事故)
● 絶え間ない痛みが徐々に強くなっている(夜間痛・楽な姿勢や動作がない)
● がんになったことがある
● 全体的に体の調子が悪い
● 原因不明の体重の減少がある
● 胸が痛い・糖尿病がある
● 腰の手術を受けたことがある
● 尿道カテーテルの留置、静脈注射の濫用、HIVポジティブ
● 尿路感染症になったことがある(腎炎、膀胱炎、尿道炎)
● ステロイド剤や免疫抑制剤を使っている
● 背骨を叩くと激痛がある
● 体が変形している・熱がある
● 腰が硬くて前屈出来ない状態が3か月以上続いている
● 尿が出ない、便失禁がある、肛門や会陰部の感覚がない
このリストに該当するものが1つでもあれば、必ず重大な病変があるというわけではありません。ですが、命に変わる病気がないことを確かめるために、整形外科を受診して画像検査と血液検査を受けて下さい

もし「レッドフラッグがひとつもなければ、重大な病変が潜んでいる可能性は99%ないといえます。なぜなら「レッドフラグ」のない腰痛患者に重大な病変が見つかるケースはわずか0.04%しかないからです
2、非特異的腰痛
(全腰痛患者の80%~90%)
腰椎部・仙骨部・臀部・大腿部に痛みを感じる場合、姿勢や動作によって痛みが変化する(強くなったり、楽になったり)という特徴があります。
例えば、顔を洗う時や歯を磨くときに痛む、寝床から起きるときに痛むなどは非特異的腰痛です。
非特異的腰痛は6週間以内に90%の患者が自然に回復します
3、神経根症状
(全腰痛患者の5%~10%)
腰痛より下肢痛(主に片側か片側優位)のほうが強く、膝の下からつま先まで痛みが放散したり、しびれや知覚異常、筋力の低下があります。

6週間以内に50%の患者が自然に回復します。腰痛患者の95%~99%は「非特異的腰痛」か「神経根症状」のどちらかに分類できるはずです。

幸いにもこの2つは、風邪やササクレのような自己限定疾患なので、治療するしないにかかわらず、遅かれ早かれ時間が解決してくれる「グリーンライト」、つまり万国共通のゴーサインということです。

まとめ

急に腰が痛くなったらまず「レッドフラック」をチェックしてください
それがなければ「グリーンライト」ですからどのみち回復する運命にあると思って安心してください。ただし以下の2つのことに留意してください

1、痛みに耐えられる範囲でゆっくりと体を動かし始め、少しずつ活動範囲をひろげて普段通りの生活にもどす。

2、出来れば仕事は休まない方がよい。もし休んだとしても、痛みが完全になくなるのを待つ必要はない、また「レッドフラック」があったとしても、画像検査や血液検査で重大な病変が見つからなければ「グリーンライト」です

さて、ここまで読んでこられたあなたはこんな疑問を持っているはずです。
「腰痛患者の95%~99%が非特異的腰痛か神経根症状で放っておけば回復するグリーンライトならなぜ私の腰痛はいつまでも続くのか?」この疑問、至極当然です。

実は、腰痛を引き起こし、何度も再発させ、回復を妨げる真犯人がいるのです。
その真犯人とは心理社会的危険因子(イエローフラッグ)です
〇グリーンライトな腰痛を慢性化させる要因イエローフラッグ
腰痛の概念の革命的な転換がはじまっています。
以下の2つの理由から従来の「腰痛は生物学的損傷」という捉え方から「生物、心理、社会的疼痛症候群」という捉え方へ大きく変化しました。

理由その1
腰痛疾患の原因は生物学的、物理的、構造的な損傷にちがいないと体を調べてきましたが、病状と関係性がある損傷は見つけられなかった。

理由その2
生物学的、物理的、構造的なアプローチ、従来の体に対する治療成績は予想以上に悪い

ここでは新しい捉え方のきっかけとなった代表的な研究を紹介します。

大転換に関する研究1
(アメリカで行われた研究で1993年に発表)
“椎間板ヘルニアに対する手術をテーマにした医学論文のうち81件を選び出して厳密に検討した結果、椎間板ヘルニアに対する手術成績は、心理社会的影響を強く受けていることを発見した

大転換に関する研究2
(アメリカで行われた研究で1997年に発表)
椎間板摘出術が予定されていた腰下肢痛患者84名を対象に

1 神経学的所見
2 下肢伸展挙上テスト
3 画像所見
4 ミネソタ多面的人格検査
上記の4項目を術前に評価しておき、術後の治療成績との関係を調べました。

治療成績と最も関係が深かったのは理学検査や画像所見ではなく心理テストのミネソタ多面的人格検査だったと報告しています。
特に心気症尺度とヒステリー尺度が高い患者は治療成績が悪かった。

大転換に関する研究3
(スイスで行われた研究で1999年に発表)
46名の椎間板ヘルニア患者を対象に、椎間板摘出手術の治療成績に影響を与える因子を2年間にわたる追跡調査で分析しています。

術後の職場復帰状況は心理的因子(抑うつ状態)と仕事の社会的側面(職場での精神的ストレス)の影響を強く受けており、画像所見や臨床症状(椎間板のつぶれ方や髄核の脱出の程度、痛みの強弱)には全く影響されないことを発見しています

以上の3つの研究の成果から腰痛疾患の治療成績は、患者の症状の強さ、画像所見、あるいは治療法によって左右されるものではなく、心理社会的因子が決定づけていることが明らかになりました。

アメリカで行われ、2000年に発表された研究では心理社会要因が腰痛の発症にも関与することが証明されました。その研究とは以下の通りです

1 被験者の性格特性をあらかじめ心理テストで分類
2 否定的な言葉や態度でストレスを与えた場合と
3 肯定的な言葉や態度でストレスを与えない場合で
4 14キロのものを持ち上げさせて、腰にかかる負担を厳密にしらべる
その結果わかったことは

・心理的ストレスは単独で腰痛の原因となりえる
・内向型、直感型といった性格特性は外向型に比べて心理的ストレスを受けると腰痛発症リスクが増加する
・腰痛の発症には物理的因子よりも心理社会的因子の影響を強く受ける
ということでした

これらの研究成果を受けてアメリカとイギリスの腰痛診療ガイドラインでは次の4つの事実を指摘しています

1 心理社会的因子は治療とリハビリテーションの成績に影響を与える
2 心理社会的因子は自覚症状や他覚症状よりも慢性化の危険因子である
3 心理社会的因子は慢性腰痛や活動障害おいて重要な意味を持っている
4 心理社会的因子は、これまで考えられていたよりもはるかに早い段階で重要な意味を持っている
これらの事実をふまえ同上の腰痛診療ガイドラインでは、心理社会的因子は診断と治療を複雑にし、治療成績や慢性化に影響をあたえるため患者の心理的、職業的、社会経済的因子に目を向ける必要があると勧告しています。

最後に紹介する研究は腰痛に対する正しい情報をしることで痛みが改善され、再発も防止できることを証明したものです。

スペインで行われ1995年に発表された研究
“仕事に障害が出るほどの慢性的な腰痛に苦しむ労働者に対し、3時間程度の腰痛に対する講習を受講してもらったところ、3年後、受けない人と比べて、腰痛による活動障害度や再発率が75%減少した。

解説
腰痛に対する講習を受講しただけで、腰痛を改善し再発も防ぐことが出来ることを発見した画期的な研究です。

しかもこの講習、難しいものではなく、痛みの原因と体を動かすことの効果を説明しただけ。

効果のあった理由は・・・・
“正しい情報を知って、腰痛に対する恐怖が取り除かれたから。
研究を実施したインダールは「腰痛に対する患者の意識変革が、手術や薬物療法以上の効果をもたらす」と評価しています。

ただしそれは、「患者自身が可能であるという信念と態度をもった時だけ実現する」ともいっています。

それでは、腰痛を長引かせる心理社会的要因とは具体的にはどんな内容なのでしょうか?
ニュージーランドの事故補償公団がイエローフラッグを7つのカテゴリーにわけて発表しています。各カテゴリー内の番号は影響力の強い順番です

1、不適切な態度と信念

① 痛みは腰にとって有害だと信じ込んでいる、あるいは痛みを恐れて回避行動(動作恐怖と極端な用心深さ)を取り続けているため、ほぼ寝たきりの状態にある
② 完全に痛みが消えなければ日常生活や仕事に戻れないと信じ込んでいる
③ 痛みは動いたり、仕事をしたりすることで強くなると思っていて、元の生活に戻る自信がない
④ からだの症状を誤って解釈し、最悪の事態だと考えて絶望している
⑤ 痛みを消すことは出来ないと信じ込んでいる
⑥ 積極的に社会復帰しようとは思わない
2、感情の問題

① 動いたり仕事をしたりすることで強くなった、痛みに対する恐怖心がある
② 抑うつ状態(気分が落ち込んでいる)にあり楽しいと思えることがない
③ 普段より怒りっぽくて、いつもイライラしている
④ 不安感が強く身体感覚が過敏(交感神経の緊張も含む)になっている
⑤ 大きな心理的ストレスを感じている
⑥ 対人恐怖や引きこもりなどの社会不安障害がある、あるいは社会的活動に関心がない
⑦ 自分は役立たずで、だれにも必要とされていない
3、診断と治療の問題

① 機能回復を目指す治療は行わず、安静にするようアドバイスされた
② 腰痛について異なる診断や説明を受けて混乱したことがある
③ 絶望感と恐怖心を抱かせる(車椅子生活や寝たきり生活を連想させるような)診断を下された
④ 治療への依存を強化し、受け身的な治療を継続させようとする、脚色された説明を受けた
⑤ この1年間、腰痛以外の問題で何度か医療機関を受診している
⑥ 治療者にたいしてからだを機械のように扱うことを求めるなど、治療技術への期待感がある
⑦ これまでの腰痛治療に不満がある
⑧ 仕事を辞めるよう忠告を受けた
4、不適切な行動

① いつまでも安静にしていたり、必要以上に体を休めたりする
② 日常生活動作を避けているために、活動レベルが低下している
③ 運動を勧められても従わないか、あるいは定期的に運動しないので、運動量の変動が激しい
④ これまでの活動を避けるようになり、生産的な活動から離れていくような生き方に変わってきた
⑤ 0~10までのペインスケール(痛みの尺度)で、10を超えるほどの過剰な痛みを訴える
⑥ 治療者や医療機関に対する依存心が強い
⑦ 腰痛になってからあまりよく眠れない
⑧ 腰痛になってからアルコールやサプリメントなどの摂取量がふえている
⑨ 煙草を吸う
5、家族の問題

① 配偶者やパートナーが必要以上に気遣ってくれるものの、かえって痛みに対する恐怖をあおったり、あるいは絶望的な気持ちにさせたりする(たいていは善意から)
② 配偶者が心配して、何でも代わりにやってくれる
③ 無視されたり欲求不満をぶつけられたりして、配偶者からひどい仕打ちを受けている
④ 職場復帰へ向けたあらゆる試みに家族の協力が得られない
⑤ さまざまな問題について相談できる相手がいない
6、仕事の問題

① 農業、漁業、林業、建設業、看護師、トラック運転手、作業員といった重労働の職歴
② 頻繁に転職を繰り返したり、あるいはストレスの多い仕事、不満のある仕事、同僚や上司との関係がうまくいかない、やりがいがない仕事などの職歴
③ 仕事は腰を傷つける危険で有害なものだと信じ込んでいる
④ 非協力的で不幸な職場環境にある
⑤ 学歴が低く、社会的・経済的地位も低い
⑥ 物を持ち上げる、重い物を取り扱う、座りっぱなし、立ちっぱなし、車の運転、振動、無理な姿勢や同じ姿勢を強いられる、休みが取れない柔軟性のない勤務スケジュールなど、生体力学的影響を強く受ける仕事
⑦ 24時間シフト勤務、あるいは夜間、早朝、週末などの時間帯に働いている
⑧ 職場復帰する際、軽い仕事から始めて、段階的に作業量を増やすことが許されない
⑨ 腰痛になったことを報告するシステムがない、報告が禁じられている、経営者や上司からの懲罰的反応など腰痛に関する職場の対応で嫌な思いをしたことがある
⑩ 経営者が関心をもってくれない
7、補償の問題

① 職場復帰に対する経済的動機が乏しい
② 受給資格審査が難航していて、所得手当や障害補償の給付が遅れている
③ 別の傷害や痛みの問題で補償請求をしたことがある
④ 別の傷害や痛みの問題で長期欠勤(3か月以上)をしたことがある
⑤ 前回の腰痛でも補償請求と長期欠勤をしていた
⑥ 効果の上がらない治療を受けたことがある(親身になってくれなかった、ひどいことをされたと感じた)

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